「SFの書き方」よりメモ その2

第3章 構成

 

冲方

 梗概が上手い人は、自分がこれから何を書くかわかっている。自然と本文も上手になります。

 

冲方

 梗概はまず、修飾しない。次に、ひとまとまりのものを書く。ハリウッドで言われているのが「三行以内で書け」。「誰がなぜ何をしようとして、どうなったか」。登場人物が置かれた状況、欲求や目的、その登場人物が目的通りに行動を果たせたかどうかを書く。

 

冲方

 理論をテーマにするなら、それ生まれた背景、その理論が実証しようとしている問い、仮説に適合する答えが出た、もしくは仮説以外の意外なものが出た、までを書く。出来事をテーマにするなら、その出来事が起こった背景、出来事が起こる、出来事が収束する、ところを書く。これは、その後の詳細なプロットを作るうえでの準備であって、読者の興味を引くというより、まず自分がこれから何を書くかというのを、ちゃんと理解してもらうもの。

 

冲方

 僕は毎回、初期段階で課題を設定しますね。

 

冲方

 はっきり申し上げますが、新人賞受賞レベルの人は仕事の現場では使い物になりません

(註:「小説講座 売れる作家の全技術」でもほぼ同じ内容の記述あり)

 

 

 

冲方

 条件や課題の提示があったら、とにかくつぶさに確認して、理解して、どうすればいいかを見抜く。そして、その条件を満たす。そのことを最初に学ぶべきかな、と思います。その先にいる無数の読者は、わかりやすい課題を与えてくれないですから。一人一人のその場の気分で、大量の意見が流れ込んできます。そういった意見に対して自分が理路整然と対抗できないと、何を書いていいかわかんなくなって混乱する。

 

冲方

 自分が作る作品はどっちなのか。「そのとき面白いもの」共時性が高く一瞬で大勢の人が楽しめる可能性がある。「いつでも面白いもの」は強度が高い分、適合しない人に何が面白いかわからないことかわからないこともある。……(中略)……ある程度狙わないと、「面白さのかけらもないもの」になります(笑)。

 

冲方

 昨今の風潮なんですけど、読者も視聴者も「何の話かわからない」のが嫌なんですよ。

 

第4回 情報

 

大森氏

 たぶん作家には、切り分けられる資質の持ち主が少ないんだと思います(笑)。でも、SFのような、情報量の多い、テクノロジーオリエンテッドな小説の場合は特に、そうやって(註:Word以外のツール)書いたほうがいいかもしれませんね。

 

藤井氏

 SFはどうしても情報量が多くなりますし、自分で作った造語や概念が、物語の初めの方と後の方でどうしても変わってしまう

 

藤井氏

 絵を書くと、自分が書こうとしているシーンに欠けているものを発見することができる

 

藤井氏

 たんに空想の世界を描く純文学と、SFと呼ばれる小説との違いは、SFが自身のテーマにどこまでも合理的に向き合うことだと思っています。

テーマは必ずしも科学的である必要もなく、……(中略)……登場人物が状況と向き合い続ける姿勢が、SFの面白さである気がします。

……(中略)……「差別はよくない」「人を殺すのはよくない」といった当然とされることも、ぎりぎりのところまで疑えるのがSFの強みです。