「シーンの切れ目に仕掛けのあるSFを書いてください」実作の感想、その3

 そうそう、淡路島で同行した友人が駐輪のときに使うチェーンを失くしてた。弁償することになるが、それほど高くはないだろうと思ったのだが、返すときにいざ申告すると、チェーンの鍵と電動アシストの電池の鍵が共通ですべて取り換えなければならないいらしく、実費11,000円支払うこととなった。なんでも、懇意にしている鍵屋さんがあるとのことで、本来なら総額15,000円であったのだが、負けてもらったそうだ。

 

 以下感想。

 

宇露 倫「機功大師 玄空」

 もう僕アクション書くのやめるわ。何なのこの人……。

 自分の中に確固としたかっこいいってのはこういうことだ、って基準ができているので、到底太刀打ちできません。梗概段階では、アンドロイドの悟り? この人仏教用語とか詳しいの? 大丈夫かこの設定? って思ってたけど、実作で大化けに化けた。

 背景のSF設定とか何だか言っている自分が阿呆らしくなってきたわ。ほんと。

 

藍銅ツバメ「枕返し・枕返し・兄弟喧嘩」

 夢の世界ならば本来もっと狂気に満ちているはずでは? と思ったのだけれど、よく考えれば僕がろくでもない夢ばかり見ているからだと気づいた。

 冗談はさておき、適度に力の抜けた夢の中の情景は読んでいて楽しいし、結果として弟が自分はすでに死んでいると気づいたときの落差が効いてくる。きょうだいってこんな感じだよね、みたいな空気感もよく出ているので、別れのシーンも結構胸に来る。だから、夢落ちってのは反則ぎりぎりなんだけれど、何となく許される感じができている。

 

藤田 青土「足跡」

 この人の作品に限って言うならば、今回が一番好きだと思う。主語が曖昧だったり、背景が曖昧だったり、といった欠点が一番薄まっている。背後にはきっちりとした世界観があるのだろう。

 だから、途中で終わってしまっていることが非常に惜しまれる。是非とも完成させてほしい。

 

揚羽はな「青い海、昏い空」

 梗概段階の幼馴染三人組を、実作では父と娘とその婚約者にしたのは大正解。

 ただ、漁師のお父さん、技術力ありすぎ! この辺をもう少し説得力を持って描写できるともっと良くなると思う。それと、やっぱり義理の息子だからって、データをもらっちゃったらちょっとまずいんじゃないかな、って気がする。それに、シミュレーション上ならともかく、防衛のためとは言えいきなり海にばらまいちゃうのもすごく怖い。滅茶苦茶怖い。どうなるかわからないのに。

 第1回の「Genome Editing ―希望の春―」のときにも思ったけれど、行動力がありすぎて、公務員としての倫理を乗り越えちゃってる。いや、乗り越えてもいいんだけれど、そこに至るまでの葛藤が短すぎる気がする。で、その葛藤をちゃんと描写したら、中編か長篇になっちゃうんじゃないかなあ。プロフィールで書いている、「リフレッシュできる、明るく楽しい、ライトだけどジェットコースター気分のSF」作品を出すときには、公務員とかコンプラの厳しい業界は相性が悪いのかも。

 

 以上。