メモ

創元SF短編賞、第六回の好評の抜粋。

 

リーダビリティがあるが、次の欠点がある。

  • 妙な説明口調のモノローグ
  • やたらと説明しなくてもいい
  • 設定に既視感
  • 解決策が唐突
  • 作品の長さに対してアイディアの量が少ない
  • マチュアのうちはアイディアとストーリーを最善の形で出すことを目指す
  • 語り口で魅せるのは熟練者になってから

二作に次ぐ評価、今後に期待。

 

 

シュヴァンクマイエル最後の長編「蟲」、今まで積み上げてきたものをあえて解体していてすごく面白い。

 ずっと楽しみだった。学生時代から長編を全部追いかけてきて、思い入れがある。一緒に観た友人たちとの思い出もある。だから、日本で公開されるのを今か今かと待ち続けていた。

 

 いざ見終わると、不思議な映画だった。今までのシュヴァンクマイエル作品のグロテスクさがかなり控えめになっている。今回の作品はおとなしいというか、枯れたというか、グロテスクなアニメーションや強迫観念、妄想の数は少ない。まるでシュヴァンクマイエル入門編のようでもある。

 

 シュヴァンクマイエル監督自身が冒頭に直接顔を出し、何度も取り直しをしながら観客に挨拶をする。それだけではない。物語の途中でわざと撮影風景を垣間見せたり、登場人物のインタビューを挟んだりする。さらに、シュヴァンクマイエル作品でよく出てくる、ショッキングなシーンは事前にネタばらしをするという徹底ぶりで、自分の作品をわざと解体するかのようだ。嘔吐、まずそうな食事、大量の昆虫、これらが出てくる前に、観客に身構えるように注意しているみたいだし、吐瀉物に至っては、どうやって作ったかを説明さえする。それはまるで、今まで積み上げてきた自分の作品を、わざと解体していくようだ。「ルナシー」のDVDにはメイキング風景があったけれど、それを作品に取り込んだのはなぜだろう。

 

 あらすじはをごく簡単に説明するとこうなる。素人劇団の六人が演劇の練習をする中で、だんだんと虚構と現実の区別がつかなくなり、様々な運命の変転を経る。夫婦仲が修復されることもあれば、行方不明になってしまうこともある。おそらく死んでしまったと思われる人物もいる。虚構によって狂わされてしまう人々だ。

 

 つまり、テーマはわかりやすく、虚構と現実だと見ていい。これは今までのシュヴァンクマイエル作品と同様だ。どちらが夢でどちらが現実なのか混沌としてきて、その結果として破滅する。しかし、今回の作品は破滅しない人もいる。それが、僕には不思議な印象を与えた。

 

 このお話の中には虚構と現実を分離する装置がいくつかある。例えば、コオロギ役の男(破綻している夫婦の夫のほう)が舞台衣装の眼鏡をかけると音楽が流れ、ハイテンションになって役に入り込む。滑稽だが、実はこの人が一番まともかもしれない。というのも、虚構と現実を分離する装置を持たない人々が、物語からどんどん退場していくからだ。

 たとえば、スズメバチを演じた男は(公然とコオロギ役の男の妻といちゃついているのだが)、この夫を模した人形に引きずり込まれて小道具入れに中に閉じ込められる。無数の虫の幻覚を見ていた幼虫役の女性は別の寄生虫役の男に食われる。フンコロガシを演じた男も、役にはまり込んだせいで、彼の現実の中に巨大な糞玉が現れ、とうとう顔が昆虫に変化して絵の中の虚構の世界に行ってしまった。生き残ったのは夫婦と、「リア王」の台詞を呟き続けていた男だけだ(ちなみに彼が、幼虫役の女性を食ったと思しい)。実際、妻はこの劇を少し馬鹿馬鹿しく思っているようで、妊娠を表す詰め物を少し気だるげに受け取る。だから生き残ったのかもしれない。

 

 演劇の世界が現実に影響を与えるのは「ファウスト」も同様だが、あっちの方がよりグロテスクだし、虚構の世界が現実まで追いかけてくるというか侵略してくる(そういえば「蟲」でも「ファウスト」でも、雷の音を鳴らす装置が舞台に直接登場する)。「悦楽共犯者」でも虚構と現実が曖昧になり、最後は医者と精神病の患者の役割が入れ替わってしまう(このあたりは理屈ではなく、感覚的だ)。

 

 生き残った人物が虚構と現実をきちんと分けていたか、ずっと寝ていたかしていた人だっていうのが面白いのだが、一方で、虚構によって現実を改変させられてもいる。破綻した夫婦関係が、演劇の中でのコオロギとしての夫婦生活を経て、現実に子どもを産んで円満な関係に変わってしまった。虚構の中で生まれた子供は、赤ん坊からあっという間に幼児まで育つ。まるで切株人形の民話をもとにした監督の作品「オテサーネク」のようだが、「オテサーネク」のような破壊者としてではない、健康そうな現実の子供なのも注目だ。しかし、虚構性が消えたわけではない。妻を演じた女性は七十近く、設定上の年齢もそれくらいなら子どもを産める年齢ではないのが、「オテサーネク」のこだまのようだ。

 また、あまりにも短い妊娠期間、非現実的な産後からの回復を見ると、これまたどっちが夢でどっちが現実かわからなくなる(夫が妻を小道具のナイフで執拗に刺して妻が喘ぐのが性交渉の暗喩だというのは分かりやすすぎて、この解釈でいいのか自信がない)。

 

 つまるところ、虚構と現実を扱った多くの物語と同じように、「虚構は現実との壁を乗り越え、人間を変えてしまうこともある。虚構から生きる力を得る人もいれば、虚構に力を奪われてしまう人もいる」という、極めてまっとうな結論が出てくる気がする。ずっと寝ていた男性が生き残ったのは狂気を夢の中に封じ込めたからかもしれない。また、退場したそれ以外の人物は別人となって最後に登場しているようにも思えたが、スクリーンに映った時間が短かったので確認できなかった。

 

 そうそう、虚構と現実と言えば、「ルナシー」の劇中劇もそのテーマに重なってくるきがする。また、「サヴァイヴィング・ライフ」は妄想の世界に逃避して終わってしまった。

 

 あと、英語版のウィキペディアによれば、この作品カフカの「変身」も反映しているようで、そういう意味では能天気なラストの言葉も皮肉に聞こえる(「変身」ではザムザが死んだあと、生き残った家族はすごくすっきりしたいい顔をして終わる話である)。また、「変身」のように、各登場人物は虚構の中で蟲の姿になりはするものの、そこから帰ってこられるものと、返ってこられずに破滅するものがいる。

 虚構を虚構とみなした人が生き残ったという意味では、素朴な見方をすれば健康な価値観を肯定したとも思え、明るい後味にも見えるのだ。

 

 取りあえずチャペックはちゃんと読もうと思う。チェコ文化好きだし。

A Proposal for Tengwar Japanese Mode

Introduction

 In this Page, I propose a tengwar mode for Japanese.

 Japanese has relatively simple phonology, and easily written by English mode. But, as a Tolkien fan, I wanted for Japanese mode with a phonological analysis.

 As a teenager, I was amused with systematical shapes of tengwar, and it was my first encounter to phonology and linguistics. And full mode of English in Daniel Reeve's map, which was not introduced in Japanese, gave me joy of solving mysteries.

 

Method

 Basically, A syllable of Japanese language ends with vowel. So, the vowel tehtar are placed above the preceding tengwa.

 There are two way of Romanization of Japanese. ①Kun-rei-shiki: standardized by Japanese government and suitable of grammatical analysis such as reflection of verbs. ②Hebon-shiki (Hepburn): a phonetical transcription.

 Tengwar shown with ③ is for further precise transcription by tengwar.

 

Consonants

 ①used in Kun-rei-shiki。

b6 umbar d5 andog8 ungwëh33 hyarmen k4 quessë m18 malta  n17 númenp2 parmar25 rómens29 silmëor30 silmë nuquerna t1 tinco w22 valay23 anna z31 essë / áre/ázeor32 essë nuquerna / áre/áze nuquerna

 Japanese r is not trilled sound, so phonetically speaking,  25 rómenwould be more suitable. I proposed 21 órë for easy recognition.

 Following letters are for ②Hepburn.

 ch3 calma f10 formen j7 anga sh11 harma / ahatsundefined

  

 Strictly speaking, Japanese f is different from English f. And some Japanese dialect distinguishes j from zh. In this proposal, I only discuss “Standard Japanese”, or Tokyo dialect.

 ③These are letters for precise transcription.

ny19 noldo / ñoldo ng20 nwalmë / ñwalmë

 “ny” sound occurs in syllable “ni” and “nya” “nyu” “nyo”. “ng” sounds are found occasionally. They are found in “nga”, substituted for “ga”. The rule is quite complicated. The most famous examples is particle “ga”. There is no orthographical way to indicate this ga in Japanese, so this can be ignored. I put this here because elves are (and Tolkien was) great linguist, and if they know Japanese, they would have recorded them.

 Furthermore, there is another allophone. “h” sound in “hi” is different form “ha” “he” “ho”, close to ich-laut. This sound could be written withhalla.

 

Vowels

 Just same as Tolkien’s usage.

a e o u

short vowel carrier telco (short carrier)long vowel carrier

 

n-sound

 In Japanese language, “n” sound makes a single mora(a concept similar to syllable).  This is shown by horizontal line over a letter. Although this sound is always written “n” in Kun-rei-shiki, it sounds like nasal of the following consonants’ articulation point. (e.g. “nb” in Kun-rei-shiki sounds like “mb”)

 If there is no tengar for horizontal line is available, use 17 númen. ③If you want to transcribe Japanese strictly ,use m 18 maltaand ng 20 nwalmë / ñwalmë.

 

Syllable with y

 To write consonant-y-vowel syllable, use subscript two dots(same as Quenya).

 There were syllables with w in archaic Japanese. If you want to write them, use “u-curl” found in mode of Beleriand(shown in the Gate of Moria)

 

Double Consonant(Gemination)

 To double the consonant, add a horizontal line below . 

 

Diphthongs

 Japanese language has many vowel sequences, such as “iie”(no), “aoi”(blue), “aioi”(longevity of a couple). If they were written in tengwar, short carriers would line up.

 for aesthetic reasons, I introduce i-glide and u-glide diphthong letters, though they are actually not diphthongs.

i-glide35 yanta u-glide36 úrë

 The first vowels are written on the following vowels.

 

Full mode

 These are letters for full mode. A dot can be added for Letter “i”.

aFile:Tengwa osse.svge35 yantaitelco (short carrier)o24 vilya / wilyau36 úrë.

 

 In full mode, previous diphthong rule is not used. Instead, put double dot for i-glide, and u-hook for u-glide.

 I used 24 vilya / wilyafor o, not as 23 annain mode of Beleriand. This is used for consonant y.

For long vowel, use .

 Syllable with y can be written with two dots, or explicitly written with23 anna .

 

Abbreviation

 In Quenya, vowel mark for “a” was often omitted, because possible combination of consonants are limited. Japanese language has many vowels, and too many vowel marks could make the letters “messy” and “crowded”. Furthermore, there is no consonantal clusters except for “ts”. So, “a” marks can be omitted.

 Since we can guess what is written with a fair amount of accuracy without vowels in some words, it is possible to omit vowels completely, in obvious cases.

 Words such as “desu” “masu” “gozaimasu” are abbreviated like “ds” “ms” “gs”, with s-hook. This is because ending “su” sounds like “s”. Faint word ending vowels can be dropped in ③phonetical mode.

 

Pitch accent

 For this is necessary and sufficient for romanization of Japanese. But, to distinguish homonyms, there is pitch accent system in this language. Elves would be aware of this, so they must have devised a diacritical mark for them.

 This is a possible idea: subscript dot or vertical line for falling syllable, when homonyms are confusing, though most of them are easy to distinguish from context. Maybe, this is for a linguist or a loremaster.

 

Examples

 

Yubiwa Monogatari (The Lord of the Rings. Lit. “the story of the ring”)

Toorukin (Japanese pronunciation of Tolkien)

Gandarufu(Gandalf, ibid)

Gyamujii(Gamgee, ibid)

Eressaaru(Elessar, ibid)

Saikou(“the best” in Japanese)

Akemashite omoedetougozaimasu(“Happy New Year” in Japanese, written in full mode)

 

Future works

 I am thinking of mode for Classic Japanese or Old Japanese, which has different phonology, such as eight vowels. Or, for some dialects.

 

 Images of tengwar are form Wikimedia Commons.

 

 Thank you to all Tolkien fans.

 

Another ways to write Japanese in tengwar

赤龍館 エルフ文字を日本語に適用する方法についての提案

テングワール文字による日本語翻字|Qvarie

 

エルフ文字で日本語を表記するための試案

ロード・オブ・ザ・リング」がちょうど流行っていた頃に、まさに「指輪物語」を読んでいた。そこで出てきたエルフ文字(テングワール、フェアノール文字)にも当然魅了されたのだが、映画版のパンフレットを見ると、追補編の説明とは明らかに異なった用法で書かれていた。解読しようと必死になって、海外のサイトを巡ったものだ。懐かしい。

さて、この記事ではエルフ文字の日本語表記の試案を記載する。普通に英語の方法でローマ字を書けばいいと思うのだが、世界各地のトールキンファンが自分の国の言葉の音韻に適した方法を考案しているのを見ると、一つつけ加えたくなったのである。

方針

日本語は基本的に音節が母音で終わるので、クウェンヤと同じく、母音記号(テフタール、テヒタール)は前の子音文字の上に置く。また、日本語を表現するには①訓令式、②ヘボン式、それから③さらに実際にの発音に近づける方法があるが、それぞれについて説明する。

子音

訓令式で使う子音は次の通り。

清音

ア行telco (short carrier)、カ行 k4 quessë、サ行 s29 silmëまたは30 silmë nuquerna、タ行 t1 tinco、ナ行 n17 númen、ハ行 h33 hyarmen、マ行 m, 18 malta、ヤ行 y23 anna、ラ行 r25 rómen、ワ行 w22 vala

ラ行は余り震えないので、トールキンの意図としては21 órëのほうが相応しいのではないかと、正直迷った。実際、五十音表の元となった悉曇図(インドの音韻学を反映している)では、ヤラワは似たグループとして分類される。しかし、視認性の問題からあえてこちらにした。

濁音・半濁音

ガ行 g8 ungwë、ザ行 z31 essë / áre/ázeまたは32 essë nuquerna / áre/áze nuquerna、ダ行 d5 ando、バ行 b6 umbar、パ行 p2 parma

追加

ヘボン式で使う文字は次の通り。

シャ行 sh11 harma / aha、チャ行 ch3 calma、ジャ行 j7 anga、ツァ行 tsundefined、ファ行 f10 formen

ひとまず共通語を表記するため、ジャとヂャの区別は設けていない。

また、③より正確な発音表記をしたい方に向けて次の文字がある。

ニャ行 ny19 noldo / ñoldo、鼻濁音のガ行 ng20 nwalmë / ñwalmë

nyの音を入れたのは、拗音のニャ行だけでなく、ナニヌネノのニも厳密にいえばこの子音になるからだ。しかし、そうするとハヒフヘホのヒも子音がhとは違うので、こだわると別の文字を使わないといけなくなる(クウェンヤ語のhtのhで、エルフ文字には区別して書く方法はない)。

トールキンが追補編で、扉のエルフ文字について、ゴンドールの人間が英語の綴りと実際の発音の間に立ってためらいがちに書くとこうなるという趣旨のことを言っていたが、まさに厳密にやろうとすると面倒なことになる。強いてやるならば別のhをあらわす文字hallaか?

母音

トールキンが「指輪物語」の扉で使った方法に従う。前述の通り、直前の子音の上に記号を載せる。または、前項目の子音と組み合わせると覚えてもいい。

ア段 a、イ段 i、ウ段 u、エ段 e、オ段 o

子音がなければtelco (short carrier)の上に気の記号を乗せる。

 

撥音

ンの文字は直後の子音文字の上にを付ける。適切な子音字がない場合は独立させて17 númenとする。厳密なことを言えば、新橋のンはm18 malta、銀行のンはng20 nwalmë / ñwalmëで表されることになるのだが、これは③の方式にこだわる人で充分だと思うし、③を使うほど日本語の発音に興味がある人は上の記述の意図はわかってくれると思うので、説明は端折る。

拗音

拗音にしたい音節に点2つを加える。なお、ワ行の拗音については、べレリアンド方式で使う波記号を用いる。

促音

詰まらせたい(ッの後ろに来る)子音の下に線を加える(テングワールでは二重子音を意味する)。

二重母音について

基本的に以上のルールで日本語を表記できるのだが、日本語はエルフの言葉よりもはるかに母音が連続する。イエとかアオイとかアイオイとかだ。これを表記するにあたり、母音のキャリアtelco (short carrier)が連続すると大変読みづらい。

そこで、二重母音(厳密には連続母音だが……)のキャリアを採用する。この記号に限り、母音記号→この文字の順で読む。

イで終わる連続母音35 yanta、ウで終わる連続母音36 úrë

 

べレリアンドモード(完書体、full mode)

母音を記号ではなく、文字であらわす方法もある。

シンダリンの方法を参考にして、次のようにした。イの上には点を打ってもいい。

File:Tengwa osse.svg、イtelco (short carrier)、ウ36 úrë、エ35 yanta、オ24 vilya / wilya

 

この場合、上の二重母音のルールは取消となる。

代わりに、イが続く場合は上に二つ点を打ち、ウが続く場合は上に波線を書く。

オはべレリアンドモードとは別の文字を採用しているが、23 annaが既に子音のyで使用していたため、未使用の記号を使った。

長母音にはを用いる。

この場合、拗音は点2つでもいいし、23 annaとして素直に書きだしてもいい。

省略

クウェンヤ語では、aが頻出する上に、子音の組み合わせが限られていたので、母音記号特にaが省かれる。たとえばcalmaということばはclmと表記された。日本語も母音が多く、特に点3つのaが多い言葉が続くとごちゃごちゃして読みづらい。

そこで、日本語ではaは省いても良いものとする。

また、明らかに母音を抜いても読める言葉は母音記号を完全に省いてもいいかもしれない。頻出する「こと」「もの」「ひと」といった言葉や、「あしびきの」「ひさかたの」といった枕詞がそれに該当する。助詞の「が」は「ng」で代用してもいいかもしれない

加えて、「です」「ます」「ございますは」、「ds」「ms」「gs」としてしまっても良いだろう。とくにsは語末のフックとすると、簡素でいい。

また、日本語では語末の母音がかすかにしか発音されないこともある。この時も省いてもいいかもしれない(特に③の方式で)。

 

アクセントについて

ローマ字的に日本語を表現する上ではこれで充分だが、優れた言語学者であったエルフたちは日本語が高低アクセントの言語であることに気づいただろう。また、同音異義語がアクセントで区別されていることにも気づいていたはずである。

詳しくは国語辞典を見てほしいのだが、アクセントが落ちるモーラの下に、点か縦棒を打つ区ことで区別してもいいかもしれない(印がないのは平板型アクセント)。



今後の課題

古典の日本語の表記をどうするか。また、上代日本語の八母音をどう表記するか。

 

以上。文中のエルフ文字はWikimedia Commonsを使用した。

気が向いたら、この記事を英訳して海外のファンにも読めるようにしたい。

リンク(偉大なる先達)

赤龍館 エルフ文字を日本語に適用する方法についての提案

テングワール文字による日本語翻字|Qvarie

ゲーテ「ファウスト」が悲劇である理由3つ

①他者の存在を最初から最後まで認識していない。
②他者を傷つける生き方しかできなかった。
自己実現には常に他者を傷つける可能性がある。

 

 ファウストは劇中ではあらゆる知識を得ようとし、さらにはあらゆる経験を得ようとする。若く知的な男性が成長しようとするときに見られる典型的な行動だ。
 しかし、彼は恋をしていても相手を思いやらない。恋の快楽しか見えておらず、責任を取ろうとしない。グレートヒェンを死に追いやっても、苦痛こそ感じるものの、彼女の痛みにどれほど共感していただろう。
 第二部でも、トロイのヘレネーは憧れの対象だが、理解の対象ではない。王国を引っ掻き回した挙句、自分の支配する土地を作り上げるための大干拓で、老夫婦を部下に(知らずとはいえ)殺させてしまう。その後ファウストは盲目になるのだが、彼は最初から、自分の行動の結果苦しむかもしれない「他者」が見えていない。その点で彼は盲目になる必然性がある。「異なった意図と感情を持つ他者がいる」という真理が見えていないのだ。
 「永遠の女性による救済」が何を意味しているのかの自分なりの解釈は次のようになる。ファウストから見た永遠の女性は「他者」「自分とは別の存在」「別の考えや目的を持つ誰か」の象徴で、他者を明確に認識したときに、孤独な人には救済が訪れる。
 あるいは、古典的なイメージとしての男性原理/女性原理というか、目的遂行型の思考が他者受容型の思考の存在と出会う場面だ。単に、理想の女性にダメな自分を受け入れてもらうというだけの話ではない。もちろん、愛するパートナー、他者を見つけるという含意も、二重写しにはなっていることだろう。

 

 おそらく「ファウスト」は知に偏重した男性の自己実現の物語である。それゆえに、別の人にはに理解しがたい要素は含んでいるし、現代の読者が受け入れがたいであろう描写もあるのだが、それを言えば別のタイプの自己実現の物語である「人間の絆」や「ジェイン・エア」だってこれまた別のタイプの人にとって直感的に理解するのに困難を覚える要素はあるだろう。
 自己実現というか、アイデンティティを確立する場合、「私は○○である」と同じくらい「私は○○ではない」が明確になる。そこから排除される部分がある以上、誰かを困惑させるは考えらえる。
 そして、排除されるのは時として社会的に正しいとか真っ当だとされる部分であることさえある。「私は誰にでも優しい人間とは限らない」「私は周りの人と考えが違う」、という形でアイデンティティが確立されることだってある。

 

 じゃあ、ハッピーエンドのはずなのに、何で「ファウスト」が「悲劇」なんだという疑問に逢着するが、それは彼が他者を本当の意味では認識せずに生きてきたからだろう。自分を完成させた、あらゆる経験をしたい。自己実現が彼の行動原理だ。
 だが、その結果、死後の世界でしか他者と出会えなかった。どこで行っても、自分、自分、自分で、心の底から他者/自分の意のままにならない存在を認識できなかった。だから生きている間は救われなかった。
 ひょっとしたら、死後の世界というのはある種の付け足しなのかもしれない。最後まで他者のいなかったファウストが、せめて彼岸では救われてほしいというゲーテの願いだったか。

 

 他に「ファウスト」が悲劇だと言える理由は「こういう風にしか生きられなかったから」だろう。僕が暴力的だったり、道徳的な弱さを持っていたりする人間の話が好きな理由は、こういうところにもあるのかもしれない。

 

  さらに「ファウスト」が悲劇と言えるのは、人間的な大成を目指すと誰かを傷つけるって点ではないか? ……これは結局のところファウストには他者が見えていなかったという話とやっぱりつながってくる。

 

 鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」では、作中の議論で「神曲」も出てきた。ダンテのやったことは、今の感覚でいえばかなり性格が悪いとみなされるだろう。ベアトリーチェ、つまり片想いをしている既婚女性を魂のガイドとし、気に入らない実在の連中を同時代から歴史をさかのぼって地獄に落としている。ただ、これは、流刑にされた彼が正気を保つ手段だったのだろう。全世界、全歴史を秩序だった幾何学的な宇宙として表現し、対称形の詩に再構成することで、自分の存在を現実に繋ぎとめようとしたのではないか。万物の秩序を描き出し、自分をギリシアやローマの詩人に並ぶ存在として位置づけなおすことは、必死の営みだったはずだ。身勝手と指弾されようとも、生きるためにはそうせざるを得なかったのではないか。
 つまり「神曲」が「喜劇」なのは、自分が世界にどんなふうに位置付けられているかがわかるからだ。じゃあ「失楽園」はどうなるのかと言えば、「叙事詩」だろう。個々の登場人物によって悲劇・喜劇が異なる。あれほど悪魔が魅力的に、共感すべき人物として書かれた文学はない。

 

 また、エンデ「はてしない物語」も無制限に願いをかなえていく話だが、バスチアンは己のエゴイスティックな願いの根底には、あるがままの自分を肯定してほしい、あるがままの他者を肯定したいという愛の願いがあると気づくことができた。僕がこの物語が好きなのはメタフィクションだからというだけでなく、愛の物語でもあり、そして、ファウスト伝説の一つの変奏だからだと、今になって気づいた。

 

 ゲーテの他の著作、ちゃんと読まないとな。

 

(二月の日記を抜粋、再構成。日記なので古典文学のあらすじは載せていないし、すべて記憶を頼りに書いている。誤りがあるかもしれない。時折はてな匿名ダイアリーに文学論を載せることがあるが、思い入れのあるこの作品だけは、このブログに載せておきたかった。いずれ別の訳で再読してみたい)

続・桃鉄に出てきたムー大陸の地名について

前回の記事で、ヴァグラヴァ=プラとランバラ=プラというムー大陸の地名が、インドの言葉ではないかと推測した。しかし、長音を省略しているうえ、ラがraなのかlaのかわからず、バがbaなのかbhaなのかわからない。これをいちいち組み合わせて検索していては面倒である。

よって、ChatGPTに尋ねてみることにした。

 

***

 

こんにちは、ChatGPTさん。
質問があります。ヴァグラヴァと発音する、サンスクリット語の言葉はありますか?
ヴァはvaかもしれませんし、vāかもしれません。ラはraかもしれませんし、laかもしれません。aはāであるかもしれません。

こんにちは!「ヴァグラヴァ」という音に近いサンスクリット語の単語についてですが、いくつか考えられる組み合わせがあります。以下に可能性を挙げます:

1. ヴァグラヴァ (Vaghrava)

  • この形は「vaghra(ヴァグラ、虎)」と関係がある可能性があります。
  • サンスクリット語で「虎」は vṛkavyāghra と言いますが、音の変化で「ヴァグラ」に近い発音が現れることがあります。

2. ヴァグラヴァ (Vāgrava)

  • vāgra(力強い、発する)に由来する可能性があります。
  • vāgra は「力」や「声」を指す語幹 vāg(言葉、音)に関係している可能性があります。

3. ラとラ行の変化

  • サンスクリット語では「ra」と「la」は地域や方言によって変化する場合があります。
  • そのため、「ヴァグラヴァ」のような表現が見つかる可能性があります。

もし具体的な文脈や用途がわかれば、さらに絞り込むことができるかもしれません!どのような文脈でこの言葉を探しているのか教えていただけますか?

ごめんなさい。私には特定できません。
そのかわり、ランバラと発音するサンスクリット語について教えてください。
ラはraかもしれませんし、laかもしれません。バはbaかもしれませんし、bhaかしれません。これらのaはāであるとも考えられます。

「ランバラ」と発音される可能性のあるサンスクリット語について、いくつか考えられる単語や構成を考察します。

可能性のある音の組み合わせ

  1. ra または la

    • サンスクリット語では ra(ラ行)と la(ラ行またはラ行的な音)が共に存在し、地域や方言によって変わることがあります。
  2. ba または bha

    • ba(バ行)と bha(バ行に近い音)はサンスクリット語で明確に区別されますが、音の類似性から混同される場合もあります。
  3. 短母音 a または 長母音 ā

    • 母音の長短は意味に影響を与えることがあります。

候補となる単語の例

1. लम्बरा (lambara)

  • lamba(長い、垂れ下がる)に由来する可能性があります。
  • ra は接尾辞として使われることがありますが、意味は文脈によります。

2. रम्भरा (rambhara)

  • rambha(植物、特にバナナの木や甘いものを指す場合があります)に関連する可能性。
  • bhara(満ちている、持っている)が組み合わさっている可能性。

3. लम्ब (lamba) + र (ra)

  • lamba(長い、垂れ下がる)+ ra(接尾辞、または名前の一部)で構成される場合。

その他の可能性

サンスクリット語の単語では、文脈によって音の組み合わせや語源が異なる場合があります。「ランバラ」が宗教的な言葉、詩、または名前として使われている場合、特定の意味やニュアンスが込められているかもしれません。

もし、この単語の使用状況や文脈(例えば、特定のマントラや名前)をご存じでしたら教えていただければ、さらに詳しく調査できます!

 

***

 

と、いうことで、それぞれ「虎のような・力強い都市」「植物の都市」と、解釈できなくもないらしい。ただし裏は取っていない。だってインドの文字って母音記号が文字の左右にくっついてややこしいんだもん。

 

 

なお、前回書き忘れているのだが、クラナカ=プラは前回の記事のサイトによればkula、平原、牧草地、起源、入れ物、naka揺れる、熱で大地が割れる、なので、地震や大地の力を暗示している名前のようだ。同じく書き忘れたナイスカード駅のワヒネ=プラだが、wahineは女性や妻を意味する。

 

 

また、ヒラニ=プラだが、ヒラニプラという都市があったという伝説があるようで(まだ出典は確かめられていない)、この「プラ」を接尾辞として再利用したというのは考えられる。

 

 

以上。

 

ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」とタロットカード

全く根拠がないんだけれど、「はてしない物語」に出てくるモチーフや場面が、タロットの大アルカナによく似ている気がしていてならなかった。以前はツイッターに呟いたのだけれど、そのアカウントに鍵もかけてしまったことだし、誰かが読んでくれたらいいな、という気持ち半分でメモ書きを公開する。
なお、筆者はタロット占いに対する知識は皆無である。

大アルカナ 対応する人物
O 愚者 猿のアーガックス
I 魔術師 アトレーユ
II 女教皇 幼ごころの君
III 女帝(逆位置) サイーデ
IV 皇帝(逆位置) バスチアン
V 教皇 カイロン、またはさすらい山の古老
VI 恋人 騾馬のイハと翼のある白い牡馬
VII 戦車 幼ごころの君の輿と不可視の運び手
VIII 力 グラオーグラマーン
IX 隠者 エンギウックとウーグル
X 運命の輪 四人の大風坊主
XI 正義 南のお告げ所のウユララ
XII 吊るされた男 群衆者イグラムールと幸いの竜フッフール
XIII 死神 夜の森ペレリン
XIV 節制 太古の媼モーラ
XV 悪魔 勇士ヒンレックの竜スメーグ、あるいは人狼グモルク
XVI 塔 エルフェンバイン塔の戦い
XVII 星 星僧院
XVIII 月 アマルガントの銀細工とアッハライ
XIX 太陽 アイゥオーラおばさま
XX 審判 絵の採掘坑ミンロウドのヨル
XXI 世界 生命の水と二匹の蛇


余談だが、グラオーグラマーンの章で「おお」から始まっていたり、最終章で「ジグザグ」という言葉が入っていたりすることから、原文ではあいうえお作文のように、書く章が飾り文字のアルファベットで始まっているのではないかと推測していた覚えがある(ちょうど二十六章だし)。こういう予測って当たったとき気持ちがいい。