「SFの書き方」よりメモ その5

第9回 宇宙

 

小川氏

 (重力井戸の深さについて述べてから)こうやって現実的な計算を始めるとすぐに行き詰ってしまうので、何かひとつ現実を越えた仕掛けが必要になってくるわけです。

 

大森氏

 宇宙開発そのものを話しの中心に据えるよりも、周辺で仕事をしている人の日常から入ったほうが一般読者にも通じやすいということでしょうか。

小川氏

 そう思いますし、わたし自身の感覚としても、宇宙人が本当にいるなら何よりも最初に日常生活を知りたいということなんです。

 

大森氏

 宇宙人を出した方が話を作りやすいということ?

小川氏

 出さない場合だと、地球人をそこに関わらせないといけないので、かえって難しい。惑星も人がいないと、ただ単に石と光が回っているだけですから。

 

第10回 神

 

山田氏

 作家には何種類か型があって、アイディア出すのに苦労する人、プロットを作るのに苦労する人、キャラクターを考えるのに苦労する人……と分かれている。

 

山田氏

 メモを全部机の上に広げておけるような、そういう原始的な方法に近いアプリの使い方がいちばんいいみたいです。

 

山田氏

 つまり、自分の小説を読む対象としてすれっからしの読者を考えるのか、それとも年に一、二冊しか読まない人を想定するのか

 

山田氏

 どんな小説家も、漫画家も、アニメーターも必ず、選考する作品を自分なりに継いでいる。僕はそのことに自覚的なほうがいいと思います。その方が遠くまでいけるような気がする。

 

大森氏

 物語を現実に繋ぎとめるアンカーとして、読者がよく知っている事物を持ってくるわけですね。

 

大森氏のあとがき・付録

 

 なんらかのかたちで作品が公になったら、日本SF大会やSF系のトークイベントなどにまめに顔を出して、先輩SF作家や編集者や古手のSFファンに名前を覚えてもらうこと。SF作家としてやっていくなら、こういう草の根活動が意外と重要です。

 

 ここ数年、日本SFはどんどん新人があらわれて活況を呈しているが、これから出てくる人にとってはそれだけ競争が激しくなっている。埋没しないためには、自分のアピールポイントをしっかり作って、一点突破を目指すこと。SFにはこのジャンルに忠実な読者がそれなりにたくさんいるので、いったんSF作家として認知されれば、けっこう長く続けられるかも。健闘を祈る。

 

【参考資料】

「SFの勝ち方」とゲンロンSF創作講座に参加した感想

https://takahashifumiki.com/literature/reading/4199/

高橋文樹氏によるまとめ