第9回ゲンロンSF創作講座(2月20日)のための覚書

■近況

 パソコンが壊れたのでsurfaceを買った。今のところ快調。

 なかでも、顔認証が非常に快適。SF小説家になろうとしている人間が、最新のガジェットに触れるのがこれほど遅いのはどうかと思わなくもないのだが、あの「ニューロマンサー」だってパソコンではなくタイプライターで書かれたそうなので、そこは許してほしい。

 

■来年度の方針……?

 そろそろ、来年もSF創作講座を受講するかどうか決める必要がある。そんな気が早い、と思われるかもしれないのだが、昨年のゲンロンスクールのツイログを見ると、募集が始まっていたのが3月の末で、満員になったのが4月中旬、それで実際の締め切りが5月10日であった。あまり余裕がない。

 いまのところ、来年も続けることについてはやや否定的な気分だ。というのも、単純にしんどいからだ。しんどいというのは、自分がほかの実作を全部読むという目標を課して、自分でハードルを上げてしまったというのもあるし、シンプルに選ばれないからというのもある。梗概が選ばれるようになるまで努力するのが筋である、という考えもあって当然だと思うし、そういう風な選択をすることも考えてはいたのだが、そろそろ実際の公募に作品を出したい気持ちに傾きつつある。

 一年を通して多くのことを学んだ。自分がどういう方向で勝負をかけるべきかの方針が立ったし、多くの人が同時に指摘する欠点もわかった。ただ、これをもう一年やるとしたら、自分のやりたい方向を見失ってしまうのではないか、と恐れている。

 加えて、この講座には依存性がある。下手な梗概であれ、ほとんどの場合コメントがあるので、とりあえず書いてしまう。自分が、避けるべきだと思っている、勢いに任せた精神状態で。これは非常にまずいのではないか。それで、講座である程度反響があると、この状態を強化してしまうのだ。

 ただ、最後の梗概で選ばれたり、実作でまた点が入ったりしたら、気が変わってしまうかもしれない。まだかなりいい加減な段階だ。

 

■現時点での成果

 とはいえ、一年間ぶっ通しで書いてきた意義というのはいくつかある。具体的にどんな作品を作りたいかというビジョンもなしに書き続けても不毛であるという実感を得たことだ。どうも自分には、気分が行き詰まると長い文章を打ってしまう傾向があり、それ自体は悪いことではないのだが、頭の中でもやもやしていることを、うっかりそのまま小説の形にしてしまうことがある。ほかにも、その時自分の中でホットになっているトピックについて言及したり、知識を披露したりしてしまうこともある。これが、ストーリーを圧迫していては、面白い作品にはならない。

 もちろん、幾分かはその時に自分がはまっているというか、興味関心が向いている出来事について何か作品を書くというのは悪いことではない。というか、そうしないと作品が大体同じような傾向のものばかりになってしまう。程度問題だ。例えば、今頭を占拠しているのは、もしも今の記憶を持ったまま過去に戻ったら、という空想だ。

 ただ、その時自分の頭を占領している物事を、すべて小説の形にしなければならないかといえば、全然そうではない。そういう物事は小説ではなく、個人用のツイッターでつぶやいたり、匿名ブログに放流したりするようにして、住み分けができるようになった。言い換えるならば、ある程度自分が何をなぜ書いているか、について再考している。

 で、小説を投稿する場所でなくても、反応があるとやっぱりうれしい。小説で反応をもらったほうが嬉しいだろう、という考えには、それもそうだけれど、と思う。でも、小説のテーマにふさわしくないか、まだ熟していないものを披露する場があってもいいと思うし、なんであれ反応があると、やっぱりうれしいものだ。どっちが本流かを間違えなければ、とてもいい気分転換になる気がしている。

 講座やめて浮いた分の20万円あったらどっか旅行へ行けるし。

 

■梗概

できることなら、もう一度白夜の下で – 超・SF作家育成サイト

 この文章単体で語るべきことは少ない。こういう描写というか、断章を書くのは、個人的にはとても好きだ。

 ただし、この背後にどのような話があるかは、漠然としか決めていない。質問されたときに答えられるように、講座当日までには、大まかでいいのでストーリーを作っておくつもりだが、講座でのやり取り次第では、大胆に変更することもありうる。

 今のところ考えているのは、バーチャル空間の物語である、とだけ。

 

■実作

君の声は聞こえる。僕の返事は届いただろうか。 – 超・SF作家育成サイト

 前回の講座で、不穏な感じがいいといわれたので、このラストを付け加えたんだけれど、これでよかったのか。そもそも余計な付け足しだったのか、逆に、これよりもずっと邪悪な感じにするべきであったのか。

 さらに心配しているのは、やっぱりラストがセリフで説明しすぎている気がしないでもないことで、なんというか、すごく絵になる展開にはなっていない。それが最大の弱点だ。

 それと、ずっと登場人物に名前を付けることに苦戦している。今回はキリスト教の三つの徳である信仰、勇気、愛から名前が取られているが*1、いつまでもこんなことをやっているわけにはいかないのである。

 ところで、勇樹のゲイ描写もいい加減に思われてならない。未来世界だから、現代とは違う価値観が当然で、普通に何でもないこととして扱われている、という表現をしたい一方で、でも苦しさが全くないように書くのも何か違う気もする。しかし、深入りしすぎたり長い説明を入れると、今度はストーリーを圧迫してしまう。

 前回、設定はするけれど長く語らない、ってのがテクニックだとは聞いたのだが。

 

■最終回に向けて

 どの作品で点を取ったかということで伸ばしていた部分を、最大限に強調したい。もしもこの実作と次回の実作が全然評価されなかったら、あまりハードじゃないほうが有利、だということになる。

 自分の中の、ストーリーのストックがなくなっていくのをひしひしと感じられる。ラブストーリーとして使えるネタは、あまり持っていないのだ。

 あと、テーマがないと書けなくなりつつあるんじゃないかって、すっごく不安。

 

■いろいろ書いてはきたけれど

 ここまで書いてきて、やっぱりもうちょっとだけ続けたいと感じている自分もいる。ああどうしよう。また人数増えるしなあ、埋もれるんじゃないかなあ……。一年休んで再開するのはどうだろう? でも講座そのものがいつ終了するかもわからない。なんにせよ、次回と次々回の結果待ちだ。

 それにしても、この一年近くで本当に疲れてきた。プロの方はすごい。

 

■というか

 実作を投稿したらフォントがなんか違うんですけど?

 

■ひっそり追記

 既視感のある小説じゃダメなんだよ! うわーん!

*1:本当は希望だった気もする。